いじめ相次いだ水泳部 被害者の親が体質を痛烈批判 兵庫・市立尼崎高校
神戸新聞NEXT 2020/4/1(水) 8:30配信
2、3月に立て続けに判明した兵庫県尼崎市立尼崎高校水泳部での2件のいじめ問題。同市教委は30日夜にようやく第三者委を発足させ、調査にとりかかった。2017年に被害を訴えたものの、2年余り放置された元生徒(18)の母親は「これまでの対応は『隠蔽(いんぺい)』だと思っている。子供を守る立場の市教委や学校が保身に走って情報を隠蔽しないようお願いしたい」。問題を繰り返す同校の体質や市教委の対応を痛烈に批判し、実態解明を求めた。(大盛周平)
母親によると、同年8月ごろから複数の女子部員からの無視や陰口が始まったといい、同年10月下旬には適応障害などの診断を受けた。11月6日から学校にいけない状態になったという。
同年夏以降、水泳部顧問に対して問題の解決を求め、起立性調節障害と診断された11月末には学校幹部に「重大事態」として調査を求めたという。その際、学校側からは「第三者委員会が入るといじめと認められない場合がある」という趣旨の発言を受けたという。
その後、調査の詳細は知らされることはなかったという。「早くこの学校から逃げたいという思いが強かった」と母親。元女子生徒は17年度末に退学し、別の高校に転学した。
この母親は今年2月になって、同部に所属する2年生=当時=の女子生徒(17)が同様の事態に陥っていることを知った。「報道を見て、顧問の対応などが自分の娘のことかと思うくらい同じだった。自分たちの時の経緯や教訓を全く理解していないと思った」と振り返る。
この女子生徒の場合も、再三の訴えにも学校側から速やかな調査や市教委への報告はなく、昨年12月に不登校に。心的外傷後ストレス障害などを発症し、今年3月末で退学して別の高校に転学した。女子生徒の父親によると、今は慣れ親しんだプールに近づくのも困難で、今後の競技継続をあきらめているという。
体罰などの問題発覚が相次ぐ同校。女子生徒の父親は「学校が掲げる、いじめに対する方針通りにどうして対応しなかったのか。それを明らかにしないと体質は変わらないだろう」と話した。